small talk

音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

昔の貴重なフィルムや脚本が海外の大学に預けられる

NHKで、羽仁進監督のドキュメンタリー番組を見ました。

 

www2.nhk.or.jp

 

natalie.mu

 

羽仁監督といえば、戦後間もないころに、小学校で授業をうける子どもたちのなまなましい表情をとらえた『教室の子供たち』(1955年)がすばらしく、私も数年前に観て感嘆したことを覚えています。羽仁監督と岩波映画について詳しく知りたい方は、とりいそぎこの本の第1章をご参照。

岩波映画の1億フレーム (記録映画アーカイブ)

岩波映画の1億フレーム (記録映画アーカイブ)

  • 発売日: 2012/06/11
  • メディア: 単行本
 

 

今回のドキュメンタリーでも、子どもたちのいきいきした表情の撮り方などが明かされていて興味深かったのですが(子どもは数日間でキャメラに慣れてくるとか、キャメラが大きな音を立てるので即席でつくった布をかぶせるとか、不良少年は喧嘩のときに肘で背中を撃つとか、ディテールが細かくておもしろい)、私が本筋と別に気になったのは、資料の保管の問題。

 

羽仁監督のフィルムをIMAGICAが保管しているカットがありましたが、保管主ハーバード大学のフィルムアーカイブ
また、岩波映画の台本などの脚本資料・ノンフィルム資料は、倉庫に眠っていたものをこのたびコロンビア大学が引き取るとのこと。

 

もちろん海外だからどうのという話ではなく、しっかりした保管先が見つかるのは何よりです(羽仁監督は海外でも再評価が著しい)。


他方で、業界ではよく聞くところですが、日本の大学や文化施設が、予算や収蔵スペースの問題からフィルムやノンフィルム資料を預かり切れなくなっているという事実を、あらためて確認することに。