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音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

『満月と近鉄』

私のまわりで話題の、前野ひろみち氏の小説『満月と近鉄』読みました。おもしろい本(関西弁でいうと「オモロイ本」)です。 

 

満月と近鉄 (角川文庫)

満月と近鉄 (角川文庫)

 

 

きっかけはご多分に漏れず、円居挽氏のこのツイート。

 

 

本をひらくと、まず1篇目「佐伯さんと男子たち1993」の舞台が、近鉄奈良駅わきのアーケード商店街から始まったので懐かしさに浸りました。私は奈良地裁で司法修習をしていたとき、まさにこの商店街によく通っていたのです。

 

そして、奇想のアクロバットというべき2編目の「ランボー怒りの改新」、アラビアンナイトを奈良で翻案した3編目「ナラビアン・ナイト」をへて、ラストの4篇目「満月と近鉄」。

 

夏の夜の生駒山上遊園地と、そこから見下ろす奈良盆地。そして「満月」と「近鉄」の明かりが、今宵の現実と虚構のはざまで、忘れがたい確かな風景として浮かび上がります。