『満月と近鉄』
私のまわりで話題の、前野ひろみち氏の小説『満月と近鉄』読みました。おもしろい本(関西弁でいうと「オモロイ本」)です。
きっかけはご多分に漏れず、円居挽氏のこのツイート。
前野ひろみち先生の『満月と近鉄』はおもちろいからな……まあ、収録作での個人的なベストは『ランボー怒りの改新』ですけどね!(ベトナム帰りのランボーが飛鳥の地で大化の改新を成功させる話。滅茶苦茶なあらすじだけど、その技量故に成立してしまっている……)https://t.co/WUaWYZpm9i
— 円居挽 (@vanmadoy) 2020年5月29日
本をひらくと、まず1篇目「佐伯さんと男子たち1993」の舞台が、近鉄奈良駅わきのアーケード商店街から始まったので懐かしさに浸りました。私は奈良地裁で司法修習をしていたとき、まさにこの商店街によく通っていたのです。
そして、奇想のアクロバットというべき2編目の「ランボー怒りの改新」、アラビアンナイトを奈良で翻案した3編目「ナラビアン・ナイト」をへて、ラストの4篇目「満月と近鉄」。
夏の夜の生駒山上遊園地と、そこから見下ろす奈良盆地。そして「満月」と「近鉄」の明かりが、今宵の現実と虚構のはざまで、忘れがたい確かな風景として浮かび上がります。