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音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

『大豆田とわ子と三人の元夫』はエルンスト・ルビッチの『生活の設計』のさらにその先をゆかんとするドラマだ

 『大豆田とわ子と三人の元夫』の最終回、観ました。

 

あの映画の半券が、あの自動ドアが、あの網戸が、「物語」をなんとも雄弁に語ります。そしてあの、「ボウリング」のシーンの、友愛と幸せに満ちた感覚。

 

いろいろな見方があるかと思いますが、私はエルンスト・ルビッチの『生活の設計』(1933年)の、さらにその先をゆかんとするドラマとして、毎週たのしく観ました(脚本の坂元裕二氏は、影響を受けた映画作品の1本に、『生活の設計』を挙げています*1)。
 

毎週の楽しみが1つなくなってしまったのは残念ですが、ルビッチの魂が民放のドラマで甦ったことの贅沢さと、あの『生活の設計』を1933年の時点で世に問うていたルビッチの先見を思いつつ、この制作チームの「次の一手」をまたお待ちしています。

 

*1:『脚本家 坂元裕二』(ギャンビット、2018年)26p。もちろんルビッチだけではなく、アクションが巻き起こすギャグからホークスを、容赦なく進んでゆくテンポからトリュフォーを感じる場面もたくさんありました。