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音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

ジャン=ポール・ベルモンド追悼で『気狂いピエロ』を観る

RIP。今日はこれを観るしかありません。

 

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もう何回観たかわかりませんが、あらためてベルモンドを意識して観ると、彼のさりげない運動神経のよさが目立ちます。

ガソリンスタンドで取っ組み合いしたり、走る車の窓を開けて乗ろうとしたり、船にジャンプして飛び乗ったり、倒れた巨木のうえをバランスよく歩いたり。

有名な、車ですれ違い様のキスシーンも、よくよく考えるとなかなかすごいアクションです。

 

そして、この映画のとても厄介なところは、あのラスト直前の港に出てくる、「同じ歌がずっと頭の中を流れている」と訴える男*1

 

赤と青の原色とか、南仏の光とか、カットが斬新と思いながら観ていても、

 

ストーリーがよくわからないと思いながら観ていても、

 

アンナ・カリーナやベルモンドに惹かれながら観ていても、

 

どんなふうに観ていても、最後はあの港の男に、ぜんぶ持って行かれそうになります。

 

ただワンショットで固定で撮ってるだけ、ベルモンドも横でニヤニヤ聴いているだけ、それなのにあれだけエモーションがあふれ出してしまうという。

 

 

*1:ちなみにベルギーのコメディアンのRaymond Devosです(映画comの表記ではレイモン・ドボス