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音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

『エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年』を読む

エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年』をすこしずつ読んでいます*1

 

エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年

 

このなかに、『九尾の猫』の梗概の話が出てくるのですが、次のくだりに驚きました。

 

君に梗概を送った翌日、ビルと私は映画に行き――『裸の街』を観た。もしこの映画を観ていなかったら、ぜひ観てほしい――殺人捜査の背景としてのニューヨーク市の映像的な処理を見てほしいのだ。実を言うと、梗概を書いているときは、『裸の街』のことは知らなかった。だけど、『裸の街』は、多くの細かいタッチを示唆してくれると思う。ニューヨークの通りに立つエラリーの周りに広がる典型的なニューヨーク市の風景―遊んでいる子供、頭上の高架鉄道の轟音などを。


ジョゼフ・グッドリッチ、飯城勇三訳『エラリー・クイーン 創作の秘密: 往復書簡1947-1950年』(国書刊行会、2021年)126pより

 

『九尾の猫』はマイ・フェイバリット・ミステリの1つですが、たしかにこの本で印象に残るのは、ニューヨークという「街」と、そこに住む「人」でした。人が「書き割り」ではないと感じる数少ないミステリの1つです。

 

ジュールズ・ダッシン監督の『裸の街』は、フィルム・ノワールの映画で、前々から観たいと思いつつ観のがしていた1本ですが、予告編*2をみると「街の映画」の雰囲気が濃厚そうで、観るのが今から楽しみです(とりあえずDVDを注文しましたので、続報は追って)。

 

 

*1:この本を知ったきっかけは、「ネコメンタリー」の有栖川有栖氏の回でした。

*2:公式の予告編が見つからないので、とりいそぎcriterionのDVD紹介ページへのリンクを張っておきます。