2021-12-30 『メルカトル悪人狩り』 読書 ミステリ 9月に読んでからご紹介が遅れましたが、2021年のベスト・ミステリでしょう。 麻耶雄嵩『メルカトル悪人狩り』(講談社ノベルス、2021年) シリーズ前作『メルカトルかく語りき』に続いて、ひとり未踏の地を切り拓いています*1。 *1:本作を読んで最初に思い出したのは、綿矢りさ氏が『さよなら神様』に寄せた書評でした。この書評の「ひたひたと忍び寄る冷たい不協和音」、「黙々となにか不吉な事象を連ねている感じ」の2つのフレーズは、まさに麻耶ミステリの世界を的確に言い表したものです。