大英博物館のデジタルコレクションを見ながら「場所」としての博物館を考える
新型コロナウイルスの影響で、多くの博物館がネットで展示品の画像を公開していますが、イギリスの大英博物館もその流れに続いたようです。
1つ1つのコレクションを検索して、高精細で拡大表示できるようで、ツイッターで使い方を解説する動画もわかりやすい。
Today we’re excited to launch a major revamp of our Collection online! 🏛📲
— British Museum (@britishmuseum) 2020年4月28日
We’ve been working extra hard to bring you this update early so you can #MuseumFromHome even better than before.
Access the collection digitally wherever you are: https://t.co/a2CPohwarP pic.twitter.com/py0ppV4ktV
たしかにこの展示方法は、すでに観たいものが絞れている方や、細部を精細に観たい方にはとてもよいですね。
その一方で、「場所」としての博物館がもっている機能、つまり、誘導にそって館内を歩いているうちに興味のなかった展示の中から面白いものに出会うという、あの機能はありません(仕方ないことですが)。
わたしも3年前にロンドンを訪れたとき、大英博物館に寄りました(いかにもブログらしく写真を張ってみましょう)。
入口の広すぎる吹き抜けから、多くの方は(みんなが行ってるのでなんとなく)まず古代エジプトエリアに入るはず。
エジプト~地中海の展示の、すごいボリューム感(よく言われるように、この圧倒的な質と量を前にすると、教科書で習う「大英帝国」、「植民地」という言葉の意味もよく実感できます)
正直にいいますと、中には強い興味までは持てない展示もあったりするのですが、そんな中にも、不意に美しいものや、ハッとするものに出会えるのがおもしろい。
そして、目を輝かせて歩きまわる子供たちを見ていると、博物館っていいものだなあと改めて思います。
そんな、知らなかったものと不意に出会う「場所」としての博物館のことを考えてしまいます。
その意味で、このあいだ上野の国立科学博物館(科博)が発表した「かはくVR」は面白い試みです。
とても高精細で、実際にぶらぶら館内を歩いているような感覚を味わえますが、しかしこれだけで満足しきれないところがポイント。実物を見たくなる、このさじ加減がよいです。
【2020/5/6追記】東京国立博物館の田良島さんが、「持続可能なデジタル・ミュージアム」とのテーマでブログを連載されており、こちらも注目。