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音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

「図書館からLibraryへ」に関するささやかな覚書

LRG(ライブラリー・リソース・ガイド)』の最新号(第31号)をご恵投いただきました。

まずは厚く御礼を。

 

ライブラリー・リソース・ガイド

 

福島幸宏さんの責任編集ということで、特集テーマは「図書館からLibraryへ」。

 

法律家のクセで、まずはここでいう「Library」が何を指すのかが気になるわけですが、本書によると、

 

「今後地域や団体に必要となるのは、貸出を中心とした図書館から、デジタルリソースや地域・団体資料にバランスよく取り組み、地域・団体の情報のハブとなるLibraryに移行していくことではないか」(12p)

 

との問題意識から編まれたようです。

 

充実した特集ゆえに、きちんとリアクションを返すべきかと思いましたので、一読者からみて素朴に気になった点を、いくつかメモしておきます。

 

  • まず、上記の「Library」の定義がかなり独特だと思いました。これはふつうに英英辞典を引いても出てこない定義です。

 

  • ということは、海外でも「Library」にこのような意味は持たされていないのかな、と思いました。海外の公共図書館制度と比較した研究などがあれば見てみたいところです。

 

  • そして次に、なぜ他ならぬ「図書館」に、デジタルリソースや地域資料への注力を求めているのかが気になりました。思考実験的にいいますと、例えば公民館ではダメなのでしょうか。

 

  • また、図書館が変わるということは、現場の「図書館員」の方々も変わっているはずで、実はこの点が本書の裏テーマではないかと思いました(公民館ではなく図書館が選ばれた理由も、おそらくここにあるのでしょう)。

 

  • すなわち、どうやら本書では、図書館員が「レジストラー」(62p)であること、「編集役」(64p)であることが求められていて、そこが議論の重要な土台になっているようです。本書所収の相宗氏の論考や、対談の中で触れられた関西大学菊池氏の例(66p)も、図書館員の役割こそを「再定置」するものとしてとても興味深いです。

 

とりいそぎの雑多な感想としては以上ですが、法律家としては、対談の思わぬところで、唐突に『芦部憲法』の4文字が出てきたことに驚きました。そうか、やはりその文脈で出てくるタイトルは芦部憲法なのか、と。