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音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

黒沢清『スパイの妻』

今ごろようやく、しかもNHK総合で放送されたものを録画して観ました。

 

公開時に国立映画アーカイブ岡田秀則氏が、「蒼井優がパテベビー9.5mmを必死で映写する映画」と定義していたのが気になっていましたが、実際に観るとなるほど。これは単にガジェット面での関心を超えて、この映画の本質を突いたコメントだったわけです。

 

そして、そのパテベビー9.5mmを提供したのは、京都のおもちゃ映画ミュージアムだったそうで。さすがです。

 

本作はBS8K用だったせいか、いつもの黒沢作品よりもルックが明るめ(そして逆光がやや多め)の造りでしたが、そんな中でもここぞというカットは陰惨で怖くて、ひとつ挙げるとすれば、蒼井優が甥に会うために有馬温泉を尋ねたときの、旅館から見下ろす甥のカットでしょうか。