small talk

音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

『兇人邸の殺人』

積ん読の山から取り出して、年末にようやく読めました。

 

今村昌弘『兇人邸の殺人』東京創元社、2021年)

 

兇人邸の殺人

 

傑作『屍人荘の殺人』のシリーズ3作目。今回は冒頭から『九マイルは遠すぎる』で、さらにミス・マープル黒後家蜘蛛の会への言及があったかと思えば、シチュエーションは安楽椅子探偵、さらに「扉の裏側」ネタと、ライトなミステリ読者にむけた古典への入口がいろいろと用意されていました*1

 

 

*1:ひとつ気になったのは、屋敷の立体図をイメージするのがやや難しいこと。本シリーズは、たとえば人名の付け方に顕著なように、一貫してライトな読者にも読みやすい工夫がなされているので、図解ももうすこしたくさん入れたほうが、人物の位置関係がよりわかりやすいかと思いました(たとえば3頁の首塚内部のような立体的なイラストを、屋敷のほかの箇所についても加えたり、また193頁、243頁のような図をつかって、要所要所で誰がどこにいたかを図示するイメージです)。