『劇場版 ダウントン・アビー』
劇場公開時に見逃していた、『ダウントン・アビー』の映画版をDVDで観ました。
ドラマ版のファンからしますと、冒頭の、英国王室が万年筆でサインするショットから堪えられないものがあり、ストーリーもさることながら、調度品、衣装、そしてラストの晩餐会まで、ダウントン・アビーの魅力が凝縮された2時間でした。
映画は、ドラマ版とは独立したエピソードとして作られてはいますが、それではドラマを見ていない人でも楽しめるかというと・・・それはすこし難しい気がしましたので*1、やはりドラマ全話をご覧になってから劇場版に進むことをおすすめします。
ドラマ版のファンにとっては、今回、新たな登場人物として、実在したジョージ5世とメアリー王妃が出てきますが、彼らについても、英国王室史を知っておいたほうがより楽しめます。
とくに、1927年が舞台の本作において、「来年アフリカ巡行に行く皇太子」とは、まぎれもなくエドワード8世のことです(彼については、ドラマ版でも、皇太子の手紙をめぐる事件がありましたね)。
エドワード8世がその後、いわゆる”王冠を賭けた恋”に傾いていったことを知っていれば、父であるジョージ5世が映画の中で語る「息子に教えてやってくれ。家庭生活の何たるかを」というセリフが、一層の含みをもって聞こえてくるでしょう。
エドワード8世については、アカデミー賞をとった映画『英国王のスピーチ』にも出てきますし、ジョージ5世との関係をさらに知りたい方には、君塚直隆氏の著書『ジョージ五世』をおすすめしておきます。