「星野源のおんがくこうろん」第1回
なんとNHKでJ・ディラ特集という前代未聞の試みなので当然見るのですが、出てくるアーティストもファーサイド、ブラック・スター(つまりモス・デフとタリブ・クウェリ)、ディアンジェロ(『VOODOO』*1!)ということで、90年代後半にヒップホップを聴いていた身にはたまらないものがあります*2。
あと一瞬ですが、トライブ・コールド・クエストの「Find A Way」も流れてましたね。アルバム『THE LOVE MOVEMENT』は何度聴いたかわかりません。
備忘で貼りつけておきます。
The Pharcydeの「Drop」。MVはスパイク・ジョーンズ。
Black Star(Mos Def & Talib Kweli)の「Little Brother」。ロイ・エアーズをサンプリング。
D'Angeloの「Playa Playa」
A Tribe Called Questの「Find A Way」
『スマホで見る阪神淡路大震災 災害映像がつむぐ未来への教訓』
1月17日ということで*1、この本をお薦めします。
木戸崇之、朝日放送テレビ『スマホで見る阪神淡路大震災 災害映像がつむぐ未来への教訓』(西日本出版社、2020年)
「スマホで見る」にもかかわらず、ここで書籍をお薦めするのはなぜか、ということで、この一節を引いておきましょう。
日々情報が追加されていくWEB空間では、どれだけ頑張って作ったアーカイブであっても、そのうち「藻屑」となって、いつしか見向きもされなくなるだろう。本書は、そうならないための布石である。紙媒体にさえしておけば、400年前の古文書のように誰かの目に触れる。そしてその誰かがアーカイブ動画を見て、油断しきった人々に警鐘を鳴らしてくれるに違いない。(本書213ページより)
*1:私も当時は大阪在住で、直接的には震度4で済みましたが、その後も様々な形で震災の影響を受けた1人です。
今宵はロネッツを聴きます
ロニー・スペクター氏を偲んで。
「Be My Baby」は、今夜おそらく何十万もの人が聴いているかと思いますが、やはり外せません。
The Ronettes - Be My Baby
他には、アンダース&ポンシアによる、こんな曲はいかがでしょう*1。
The Ronettes - Do I Love You?
The Ronettes - (The Best Part Of) Breakin' Up
岩波ホール閉館の報をうけて
悲しい知らせがいきなりやってきました。
【お知らせ】2022年7月29日(金)を以て閉館いたします。54年間にわたり、ご愛顧頂きました皆様に心より御礼申し上げます。閉館までの上映予定、会員制度等の詳細は決まり次第、岩波ホールHP等を通じて別途ご案内いたします。https://t.co/8A7xfkDetu
— 岩波ホール【公式】 (@iwanami_hall) 2022年1月11日
私がここに足を運ぶときはたいてい満員だったのですが*1、記憶をたどるとやや高齢の方が多かったので*2、コロナ禍でその層の客足が遠のいてしまったのでしょうか。
7月の閉館までに、またお邪魔したいと思います。
ウェス・アンダーソン『フレンチ・ディスパッチ』予告編
ウェス・アンダーソンの映画がなかったここ2年は、『Accidentally Wes Anderson(邦題:ウェス・アンダーソンの風景)』という、遊び心に満ちた一冊を楽しみましたが、いよいよ本家が来ました。公開が楽しみです。
『米澤穂信と古典部』
『米澤屋書店』を読まれた方にはこちらもおすすめです。
一見すると、『氷菓』からはじまる〈古典部〉シリーズのファンブックですが、実はブックガイドとしても楽しめます。
例えば、「米澤穂信のマイルストーン」という企画は、米澤氏のバイオグラフィーでありつつ、何歳のときにどんな本に出会ったかも時系列で触れられているため、これを読むと、アガサ・クリスティーの『なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?』やシュペルヴィエル『海の上の少女』を読みたくなってきます。
また、ほかの作家との対談も収められていますが、一部はおすすめ本のブックガイド状態です*1。
さらに凄いのは、「あなたの本棚 見せてください! 古典部メンバー4人の本棚大公開」の企画。
これは、〈古典部〉シリーズの登場人物4人の本棚にどんな本があるのか、米澤氏が想像してリストアップする企画なのですが、なんと1人あたり30冊のボリュームです。そのため、実質的には、米澤氏がチョイスした、30冊×4人=120冊分のブックガイドになっています*2。
この調子で、ファンブックを装いつつも実はおすすめ本がたっぷり披露されたこの本。セレクションはミステリがやや多めですが、注に並べたタイトルのいずれかに引っかかった方はぜひどうぞ。
*1:たとえば北村薫氏との対談を読むと、坂口安吾の「アンゴウ」やジェラルド・カーシュの「廃墟の歌声」を読みたくなり、恩田陸氏との対談を読むと、スティーブン・キングの『死のロングウォーク』や、連城三紀彦『戻り川心中』を読みたくなり、綾辻行人氏との対談を読むと、高木彬光『人形はなぜ殺される』や、泡坂妻夫『乱れからくり』を読みたくなります。
*2:たとえば主人公の折木の本棚は、「(米澤氏)自身の趣味とは少しだけ異なる本棚にしようと思った」ということで、吉村昭『破獄』、G・K・チェスタトン『木曜の男』、サン=テグジュペリ『夜間飛行』などが並びます。
ヒロインの千反田の本棚には、詩集や少年少女むけの小説が多く、E・L・カニグズバーグ『クローディアの秘密』、ロバート・A・ハインライン『夏への扉』、小川未明『小川未明童話集 赤いろうそくと人魚』などなど。
主人公の盟友である福部の本棚には、「より深い趣味や教養の世界への入り口になるようなものを読むのでは」ということで、辻惟雄『奇想の系譜』、都筑卓司『新装版 マックスウェルの悪魔―確率から物理学へ』、スタンレー・ミルグラム『服従の心理』などの渋いチョイス。
漫研所属の伊原の本棚は、「思い切って漫画に絞ることにしました」として、、萩尾望都『11人いる!』、楳図かずお『わたしは真悟』、大島弓子『バナナブレットのプディング』など漫画だけで30冊が並びます。
『米澤屋書店』
年末年始はこれを読んでいました。
冒頭エッセイのタイトルからして、「ご挨拶より本の話をしませんか」というわけで、読書エッセイ集の本書では、約700の作品*1がぎっしり紹介されています。
米澤氏が「うん。ミステリを書こう」と思ったきっかけのエピソード(51頁)や、泡坂妻夫『妖女のねむり』の文章技法の解説(107頁)、チェスタトンのブラウン神父ものでは謎が解決したあとに何が起こるか(306頁)など、印象的なくだりを挙げはじめるときりがありませんが、あえて特筆したいのは「思い出の映画」という、その名のとおり映画に関するエッセイ(228頁)。
米澤氏がここでピックアップした一本は、ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』*2という、まさに「物語ること」をテーマにした作品なのでした*3。