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音楽、映画、読んだ本のメモ帳です

『米澤屋書店』

年末年始はこれを読んでいました。

 

米澤穂信『米澤屋書店』文藝春秋、2021年)

 

米澤屋書店

 

冒頭エッセイのタイトルからして、「ご挨拶より本の話をしませんか」というわけで、読書エッセイ集の本書では、約700の作品*1がぎっしり紹介されています。

 

米澤氏が「うん。ミステリを書こう」と思ったきっかけのエピソード(51頁)や、泡坂妻夫『妖女のねむり』の文章技法の解説(107頁)、チェスタトンのブラウン神父ものでは謎が解決したあとに何が起こるか(306頁)など、印象的なくだりを挙げはじめるときりがありませんが、あえて特筆したいのは「思い出の映画」という、その名のとおり映画に関するエッセイ(228頁)。

 

米澤氏がここでピックアップした一本は、ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ*2という、まさに「物語ること」をテーマにした作品なのでした*3

 

 

*1:巻末索引の作品数をざっくりと数えました。

*2:ビッグ・フィッシュ』、公開時に観たときは手放しで支持できなかったものの、それから20年近く経たいま、2000年代の最も重要な映画の一本だと感じています。

*3:米澤氏の「物語」論については、講演録「物語のみなもと」(『米澤穂信古典部』所収)もおすすめ。ちなみにこの『米澤穂信古典部』は、古典部シリーズのファンブックに見せて、実は米澤氏によるすぐれたブックガイドです。【2022/1/5追記】『米澤穂信古典部』についても記事を書きました