『米澤屋書店』
年末年始はこれを読んでいました。
冒頭エッセイのタイトルからして、「ご挨拶より本の話をしませんか」というわけで、読書エッセイ集の本書では、約700の作品*1がぎっしり紹介されています。
米澤氏が「うん。ミステリを書こう」と思ったきっかけのエピソード(51頁)や、泡坂妻夫『妖女のねむり』の文章技法の解説(107頁)、チェスタトンのブラウン神父ものでは謎が解決したあとに何が起こるか(306頁)など、印象的なくだりを挙げはじめるときりがありませんが、あえて特筆したいのは「思い出の映画」という、その名のとおり映画に関するエッセイ(228頁)。
米澤氏がここでピックアップした一本は、ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』*2という、まさに「物語ること」をテーマにした作品なのでした*3。